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欧州特許制度概要OVERVIEW OF EP PATENT SYSTEM

目次

1.特許出願
 1.1.準備書類
2.審査請求
3.中間手続き
 3.1.サーチレポート
 3.2.拒絶
4.特許登録及び維持
5.特許庁料金

1.特許出願

1.1.準備書類

欧州に特許出願するには、基本的に下記の書類を用意する必要あり。

・英語の明細書、クレーム、要約(フランス語、ドイツ語も可)
・図面(図中に文字がある場合は英語(フランス語、ドイツ語)にしたもの)

<明細書等>
通常、日本での特許出願の翻訳文を作成する。ただし、欧州の様式に合わせる必要がある。
長文の回避、構成要素の明確化等。補正範囲を拡大するために、サブクレームの追加、実施例の追加等が望ましい。
<図面>
日本での特許出願の図面を流用できる。
<委任状>
委任状不要。



2.審査請求

欧州で特許出願を審査してもらうには、日本と同様に審査請求を行う必要あり。

<審査請求時期>
欧州特許公報において、サーチレポートの公開に言及した日から6か月以内。
<早期審査>
PACEの請求により審査の迅速化が可能。



3.中間手続き

3.1.サーチレポート

出願日が認定された特許出願について、欧州特許庁が先行技術の調査を行って引用文献を列挙したサーチレポートを作成する。サーチレポートには特許性に関する見解書が添付される。
<応答義務>
否定的な見解に対し、応答義務が生じる。
応答しない場合は出願が取り下げたものとみなされる。
肯定的な見解には応答義務はない。
<応答時期>
審査請求ができる期間内。
延長不可。
<応答内容>
補正及び/又は反論。
拒絶理由通知と同様に対応すればよいが、応答義務を果たせば、多少無理した応答も可能。
補正の制限(新規事項の追加)が非常に厳しいため、補正を極力少なくした方が良い。反論のみで応答可能かどうかの検討も必要。


3.2.拒絶

拒絶理由通知の種類

・最初の通知(以下、OA)
・二回目以降の通知

拒絶理由通知には、最初・最後の区別がない。


対応方法

<時期>
・方式的なもの:2か月以内
・実質的なもの:4か月以内
・例外    :6か月を超える期間

通常、トータル6か月を超えない範囲で延長可

<手続き>
補正及び/又は反論
主と副の複数の補正書を提出できる。
補正可能な範囲が極めて狭いので注意が必要。基本的に従属クレームの文言や明細書の文言をそのまま追加する程度の補正であれば認められる。ただし、明細書に記載のない実施例を含むような場合は認められない。図面のみに開示されている事項は基本的に追加できない。


主な拒絶理由の内容と対応

<新規性>
内容:引用文献に記載された発明と同一であること。
対応:同一ではないように補正する。米国と異なり、同一の範囲は狭い。

<進歩性>
内容:引用文献に記載された発明とは相違点があるが、相違点について同一又は他の引用文献に開示や示唆があるか技術常識であること。
対応:引用文献には開示や示唆の無い構成を追加するのが一般的。単なる設計変更とはならないように注意する。その他、機能の違いや引用文献の組み合わせの阻害要因等について主張するのも手。

<新規事項追加>
内容:クレームに記載された事項が明細書に開示された範囲を超えていることを理由として拒絶される。
対応:明細書に記載された範囲内とする補正を行う。従属クレームや明細書に直接記載されている文言に変更するのがよい。



4.特許登録及び維持

特許登録

<規則71(3)の通知>
 規則71(3)の通知後、4か月以内に下記手続きを行うことで特許査定が発行される。
・手数料の納付
・手続き言語以外の二つの公用語(通常は、フランス語、ドイツ語)のクレームの翻訳文提出

<特許査定>
特許査定において特許付与の言及の予定日が通知される。
その後、欧州特許の付与が公報において言及され、欧州特許が発効する。

<各国手続き>
欧州特許を各国で有効にするための手続きは、国によって三段階(手続き不要を含めると四段階)に分かれている。

・翻訳文の提出は不要
・クレームの翻訳文のみ提出
・明細書の翻訳文のみ提出
・クレーム及び明細書の翻訳文を提出

翻訳文の提出は特許付与の言及の日から3か月以内


特許の維持

欧州特許が有効な各国にて年金を納付する。
年金の納付先の切り替わりタイミングに注意が必要。
 <欧州段階の年金>
  特許公報の公開日の属する年度まで。例)特許出願日2011年11月11日、特許発行の公告日2017年11月12日の場合、2017年11月末日までに欧州に年金を支払う。
 <各国の年金>
  特許公報の公開日の属する年度の翌年から。例)特許出願日2011年11月11日、特許発行の公告日2017年11月10日の場合、2017年11月末日*までに各国に年金を支払う。*年金の金額や納付期限等は各国の定めによる。



5.特許庁手数料(オフィシャルフィー)

代表的な特許庁手数料は下記表の通り。

 時期  項目  内訳 金額(ユーロ)
出願時 出願料  特許出願 120
 サーチ料 1300
 締約国指定料  585
加算料     36ページ以降の1ページごと 15
 クレーム16個〜50個の各クレームごと  235
 クレーム51個以上の各クレームごと 585
 中間時  審査請求料  審査請求料 1635
登録時まで      登録料  発行料 925
年金       3年目 470
4年目  585
5年目 820
6年目 1050
7年目 1165
8年目 1280
9年目 1395
10年目 1575

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